これまで「よみがえる新日本紀行」や「NHKスペシャル」などでナレーションを担当するたびに、いつか必ず行きたいと願っていた高知県の四万十川。この6月、駆け足でしたがようやく訪ねることができました。
去年も訪ねた高知県。そのときは車を運転できる仲間がいなかったため、県の東側を「ごめん・なはり線」の列車で回りました。まさに今の“朝ドラ”「あんぱん」の舞台になっている場所を、やなせたかしさんがイラストを描いた列車で訪ねた素敵な旅でした。そのとき、県西の四万十川の旅も素晴らしいに違いない。来年行こうと心に決めたのでした。
自他共に認める強力な晴れ女2人の旅にもかかわらず、1泊2日の旅の天気予報は雨。実際高知空港からレンタカーで四万十川に向かう道中はずっと雨。しかし、くねくね道をドライブし、佐田の沈下橋に到着するころには、霧雨程度に。深い山々の間を静かに悠々と流れる大きな川、木々から、川面からの清浄な空気に包まれ、心も体も洗われるようです。これが四万十川なんだと、憧れの土地に来ることができた幸せに浸っているうちに空がさらに明るくなり、川の色が美しい碧に変わっていきました。
急なカーブが続く細い道を行き、少し上流の三里の沈下橋に到着したときには雲の間から日がさし、キラキラ光る水面の美しさにうっとり。この景色が変わらずにずっとあり続けますようにと思わず祈りました。
翌日は友人の希望で去年も訪ねた県の東、「モネの庭」にも行ったのですが、やはりドライブ中は雨なのに、目的地に着くと不思議に晴れて傘いらず。私たちの晴れ力は本物だねと、悦に入り、1泊2日の高知旅をまたも満喫したのでした。
ところで旅好き、飛行機も大好きな私。最近の機種では、機体の前方と下方のカメラからの映像を見ることができます。何より好きなのは着陸が近づき、前輪が出てくるときと、滑走路のラインが見え、着地する瞬間を見極めるとき。今回もワクワクでした。
(もりた・みゆき 第2土曜担当)
※この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2025年8月号に掲載されたものです。
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