現在放送中の大河ドラマ「べらぼう~つたじゅうえいゆめばなし~」では、老中・松平定信さだのぶの政策によって、主人公・蔦重たちが次第に追い詰められていきます。
井上祐貴さんが演じる松平定信は、江戸市中や城内からの反発を受けながらも、質素倹約を信念に掲げ、「寛政の改革」などの政策を断行していく強い意志を持った人物として描かれています。

松平定信像(福島県白河市 南湖公園)

そんな松平定信が藩主を務めた地・福島県白河市にある小峰城歴史館では、現在、大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』展が開催されています。江戸では厳しい改革で反発を招いた定信ですが、白河では歴代藩主の中でも群を抜く人気を誇っていたといいます。(大河「べらぼう」白河藩主人気ナンバーワン!松平定信の足跡が残る福島県白河市 | ステラnet
今回の展示では、そんな定信の人物像にスポットを当てつつ、ドラマの世界観を体感できる内容となっています。
ここでは、その見どころをご紹介します。


展示室に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、主人公・蔦重と老中・松平定信のキャストビジュアルバナーです。対照的な志を持ち、時に激しくぶつかり合う2人の姿が、ドラマの中でも印象的に描かれてきました。
その2人が、ここでは並んで来場者を迎えます。

そしてなんと! 松平定信役・井上祐貴さんの直筆サインも展示されています。白河市で行われたイベント(大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」 松平定信役の井上祐貴さん、寺田心さんが福島県白河市でトークショー | ステラnet)の際に、井上さんが自らサインを残していってくれたそうです。ファンにはたまらない、ちょっとした“お宝”ですね!

会場を進むと、まず、基本の番組紹介パネルや出演者の展示があります。


ドラマの収録で使用された松平定信ゆかりの小道具も!

小道具の黄表紙『鸚鵡返文武二道』

実際に、ドラマで使われた小道具も。たとえば、春町はるまちが著した書物『鸚鵡返文武二道おうむがえしぶんぶのふたみち』。劇中では、定信がこの本を読み、自らの改革を風刺されたと激怒し、思わず破ってしまう印象的なシーンが描かれました。↑写真の黄表紙も、ほら、破かれていますね。ドラマの世界をより身近に感じられると思います。

小道具の「瓦版」

また、ドラマの中で老中になった定信は、「田沼政治は病である」と断じて、質素倹約と精神主義を掲げ、改革を進めていきます。江戸の町には「田沼病」と題した読売(瓦版)がかれる場面も登場しました。
老中・松平定信が行った「寛政の改革」は、きっとみなさん日本史の授業で勉強した記憶があると思いますが、こうしてドラマを通して見ると、当時の世相や定信の思想が身近に感じられます。

賢丸時代(左・向こう側)と定信時代の衣装

展示されている衣装は、定信の若かりし頃の田安賢丸まさまる(寺田心さん着用)と、成長した定信(井上祐貴さん着用)の2着。いわば“W定信”の衣装が並んでいます。本編では2人が同時に登場するシーンはほとんどないため、こうして2つの衣装を並べて見られるのはとても貴重です。幼い頃から聡明そうめいで、将来を見据えていた定信。演じた2人の衣装の違いにも、ぜひ注目してみてください。

ドラマでは蔦重たちの前に立ちはだかる存在として描かれている松平定信ですが、ここ白河市を訪れると、彼が残した功績や人柄に触れることができ、これまでのイメージが少し変わるかもしれません。

小峰城歴史館で開催中の『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』展。ぜひお越しになって松平定信のもう一つの顔をご覧ください。
そして、物語の中で彼にどのような運命が待ち受けているのか、今後の展開にもぜひご注目を。

大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』展

会期:令和7年10月15日(水)から12月7日(日)まで
午前9:00~午後4:30まで(入館は午後4:00まで)
※小峰城歴史館の開館閉館スケジュールに準ずる。
会場:小峰城歴史館ロビー(白河市郭内1-73 城山公園内)
休館日:原則、月曜日(月曜日が祝日の場合は開館、翌日休館)
詳しくは、小峰城歴史館の開館日・休館日をご確認ください。(ステラnetを離れます)
主催:NHK財団
後援:NHK福島放送局
協力:白河市

※ロビーの展示については、観覧無料になります。
※ロビー以外の小峰城歴史館内展示室をご覧になる場合は、有料になります。展示室の展示内容については、令和7年度 小峰城歴史館の展示予定をご覧ください。(ステラnetを離れます)

(取材・文/NHK財団 展開・広報事業部 徳田祥子)