12月14日の放送で最終回を迎えた大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。
蔦重(横浜流星)の妻・ていを演じきった橋本愛さんからコメントが届きました。
【橋本愛さんコメント】
――橋本さんは「べらぼう」が4回目の大河ドラマ出演になりますが、最終回まで収録に参加されるのは今回が初めてです。ていも“屁踊り”の輪の中に加わるというラストシーンを演じられて、いかがでしたか?
長い間ずっと一緒にやってきたスタッフさん、キャストの皆さんと一緒にゴールテープを切れたのは、本当に一生に一度あるか分からないくらい、私の中ではすごく貴重な経験でした。
蔦重さんの「戯ける」という精神と「世を耕す」という信念。そして、遊びじゃないから遊びにするんだという生きざまが全て詰まったようなラストシーンでした。エンタメに振り切りながらも、だからこそ感動の伝わるシーンになっているのではないかと思います。
演じる側としてはハードルの高いシーンでもありました。あの中でていさんがどんなふうに振る舞うのか、祈りや思いがちゃんと伝わるように演じたいな、と思いました。

——最終回、弱っていく蔦重を、ていはどのように見守っていたのでしょう。
ていさんは誰よりも旦那様を誇りに思い、誰よりも旦那様に感謝しています。耐えられないほどの悲しみの底にいるのに準備は万端というところに、ていさんらしさを感じました。
蔦重さんが自分の病状を商売に利用するところもコミカルに描かれていますが、「最後まで自分らしく本を作り続けて死ぬんだ」という本屋としての矜持、蔦重さんの本音は、生まれながらの本屋の娘であるていさんにも良くわかります。だから、蔦重さんの信念に最後まで添い遂げるんだという覚悟でした。
一方で、旦那様に生きることを諦めないでほしい、やっぱり安静にしていてほしいという気持ちも同居していて……。いろんな感情が激しく渦巻いていましたが、ふたりで生きてきた時間と静かに向き合う、満たされた時間でもありました。
どうにかして生きてほしいと願いながら、死に向かう旦那様のために準備をすることは、結構こたえる時間だったと思います。でも、妻としての責任を全うしたい、旦那様の不安を払拭したい、そして何よりも後悔したくない。だからこその準備万端でもあったのかなと思います。最後には、笑って想いを全て伝えられたように感じました。

――ふたりのシーンでは、横浜流星さんとお芝居について話されましたか?
いつもどおり、言葉で打ち合わせはせず、セッションしている感じで、お芝居しながら相手がどう出るかを感じ取りながら、今回のシーンも作っていきました。
――全体を振り返って、印象に残っているシーンはどこですか?
第25回で「陶朱公のように生きればいいんじゃないですか」と言ったシーンです。宿屋飯盛さん(又吉直樹)が書いた蔦重さんの生きざまを象徴する言葉が、過去のていさんの言葉だったことが私はすごく嬉しくて……。ていさんの思いも一緒に、あの世に連れていってくれるんだなと。第25回の時点では、それが蔦重さんを象徴する言葉という気持ちでは演じていなかったので、サプライズのようでした。
——視聴者の皆さんへのメッセージをお願いします。
1年間ずっと作品を見続けることは、ものすごいエネルギーが必要だと思います。大げさじゃなく、皆さんのおかげで自分も頑張ろうとやってこられました。これから先、「べらぼう」が一人でも多くの方の心に生き続けるような作品になったらいいなという願いを込めて、心からの感謝を伝えたいです。

大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」
毎週日曜 総合 午後8:00~8:45、翌週土曜 午後1:05~1:50(再放送)
毎週日曜 NHK BS 午後6:00~6:45
毎週日曜 BSP4K 午後0:15~1:00、午後6:00~6:45(再放送)
【物語】
18世紀半ば、人口は100万を超え、天下泰平の中、世界有数の大都市へと発展した江戸。蔦重こと蔦屋重三郎(横浜流星)は、江戸郊外の吉原の貧しい庶民の子に生まれ、幼くして両親と生き別れ、引手茶屋の養子となる。
血のつながりをこえた人のつながりの中で育まれた蔦重は、貸本屋から身を興して、その後、書籍の編集・出版業をはじめる。
折しも、時の権力者・田沼意次(渡辺謙)が創り出した自由な空気の中、江戸文化が花開き、平賀源内(安田顕)など多彩な文人が輩出。蔦重は、朋誠堂喜三二(尾美としのり)などの文化人たちと交流を重ね、「黄表紙本」という挿絵をふんだんにつかった書籍でヒット作を次々と連発。33歳で商業の中心地・日本橋に店を構えることになり、“江戸の出版王”へと成り上がっていく。
蔦重が見出した才能は、喜多川歌麿(染谷将太)、山東京伝(古川雄大)、葛飾北斎(くっきー!)、曲亭馬琴(津田健次郎)、十返舎一九(井上芳雄)といった若き個性豊かな才能たち。その多くは、のちの巨匠となり日本文化の礎となっていく。
しかし時世は移り変わり、田沼意次は失脚。代わりに台頭した松平定信(井上祐貴)による寛政の改革では、蔦重の自由さと政治風刺は問題になり、財産の半分を没収される処罰を受ける。周囲では江戸追放や死に追いやられるものもあらわれる……蔦重は、その後も幕府からの執ような弾圧を受け続けるが、反権力を貫き通し、筆の力で戦い続ける。そんな中、蔦重の体を病魔が襲う……。命の限りが迫る中、蔦重は決して奪われない壮大なエンターテインメント「写楽」を仕掛けるのだった……。
作:森下佳子
出演:横浜流星、染谷将太、橋本愛、古川雄大、井上祐貴、生田斗真、高橋克実 ほか
制作統括:藤並英樹、石村将太
プロデューサー:松田恭典、藤原敬久、積田有希
演出:大原拓、深川貴志、小谷高義、大嶋慧介ほか
公式Xアカウント:@berabou_nhk
公式Instagramアカウント:@berabou_nhk
ハッシュタグ:#大河べらぼう