現在放送中の、連続テレビ小説「ばけばけ」。松江の没落士族の娘・小泉セツと、外国人の夫・ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに紡ぐ“夫婦の物語”です。
花田旅館の主人・花田平太役の生瀬勝久さんから、ドラマについての感想や、役についての思いを語ったメッセージが届きました。
花田平太役 生瀬勝久

松江でヘブンが寄宿することになる花田旅館の主人。しじみ売りに訪れるトキとも親しく、あたたかく見守る。人情味はあるが、つい余計なひと言で波風を立ててしまうことも。
【生瀬勝久さんのコメント】
――ご出演が決まった時のお気持ちを教えてください。
またお話をいただけてありがたかったです。前回出演した「ブギウギ」では、標準語の役(喜劇王タナケン役)だったんですよ。だから今度こそ関西ことばなのかなと期待していたら、出雲ことばでした(笑)。兵庫県出身なのでなじみがある関西ことばだといろいろ融通が利くんですけどね。出雲ことばはもう本当に難しくてとても苦労しています。外国語のように丸暗記しないといけなくて。

――演じられる花田平太はどんな人物でしょうか?
花田旅館はそんなに大きなお宿でもないし、見ている方にとって平太は等身大の人物じゃないかな。ツルを演じる池谷のぶえさんと夫婦役というのが心強いし、やっていて楽しいです。共演が多いのでなにをやっても応えてくれる信頼感がありますね。夫婦のシーンが豊かになる、本当にすてきな俳優さんです。
平太は“異人さん”に慣れていないから、ヘブン先生(トミー・バストウ)のことは本当に怖いと思っているはず。外国人が来たら当時の日本人はどうなっていたかという典型です。
僕のイメージですけど日本人って表情で相手をイライラさせないように愛想笑いするし、感情をストレートに出すことってなかなかないじゃないですか。でもヘブン先生はストレートに感情をぶつけてくるから、「なんだよ〜!こっちは笑顔で接しているのに!」と思うんじゃないですかね。そんなすれ違いもあって、なかなか分かり合えないのだと思います。

トキ(髙石あかり)のことは働き者の明るい子だと思っているでしょう。ただ、お父さん(司之介/岡部たかし)がちょっと変わっていて、お母さん(フミ/池脇千鶴)も一癖も二癖もありそう…。もしかしたら、実の父より平太の方が優しいかもしれませんね。
――「ばけばけ」の現場で印象的だったことを教えてください。
(スタジオに入った時)最初は「ちょっと暗くないですか!?」と思いました。家のセットに天井をつけているんですよね。非常に思い切ったなと思いますけど、そのこだわりがオンエアの時にどう見えてくるのか僕も興味深いです。昔は電気がないから、変にクリアに見えてしまうよりきっとリアルなんじゃないかな。それに、画面は暗めでも出ている人が明るいからいいんじゃないかと思っています。

――視聴者の方々に作品の見どころとメッセージをお願いします。
15分なのに見応えがあって、でも食い足りなくて、また明日も見るという朝ドラはやっぱり独特な作品です。単調にならないように僕らもみんなで一生懸命頑張って作っていますので、皆さんもぜひ半年間見届けてみてください。何か結果が出ますから(笑)!花田旅館が「ばけばけ」の一服の清涼剤になればいいなと思います。
ちなみに、いろんな朝ドラヒロインと共演してきて大変なのは分かっているので、スタッフさんに「髙石さんそろそろ疲れてきたんじゃない?」とリサーチしたのですが、非常に元気でポジティブとのことで安心しました。
お芝居はもちろんすごく大事なのですが、10ヶ月近く走り続ける体力というのもヒロインには必要なんですよね。これだけの期間ずっとお芝居のことを考えられるってなかなかない経験なので、プラスに捉えてどんどん成長していってほしいです。と、プロデューサーでもないのに思っています(笑)。
【物語のあらすじ】
この世はうらめしい。けど、すばらしい。
明治時代の松江。松野トキは、怪談話が好きな、ちょっと変わった女の子です。
松野家は上級士族の家系ですが、武士の時代が終わり、父が事業に乗り出すものの失敗。とても貧しい暮らしをすることになってしまいます。
世の中が目まぐるしく変わっていく中で、トキは時代に取り残されてしまった人々に囲まれて育ち、この生きにくい世の中をうらめしく思って過ごします。
極貧の生活が続き、どうしようもなくなったトキのもとに、ある仕事の話が舞い込んできます。
松江に新しくやってきた外国人英語教師の家の住み込み女中の仕事です。外国人が珍しい時
代、世間からの偏見を受けることも覚悟の上で、トキは女中になることを決意します。その外国
人教師はギリシャ出身のアイルランド人。
小さい頃に両親から見放されて育ち、親戚をたらい回しにされたあげく、アメリカに追いやられ、居場所を探し続けて日本に流れ着いたのでした。
トキは、初めは言葉が通じない苦労や文化の違いにも悩まされます。ところが、お互いの境
遇が似ている事に気が付き、だんだんと心が通じるようになっていきます。しかも、二人と
も怪談話が好きだったのです!
へんてこな人々に囲まれ、へんてこな二人が夜な夜な怪談話を語り合う、へんてこな暮らし
が始まります――。
2025年度後期 連続テレビ小説「ばけばけ」
毎週月曜~土曜 総合 午前8:00~8:15ほか ※土曜は一週間の振り返り
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
出演:髙石あかり、トミー・バストウ/吉沢亮 ほか
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史、小林直毅、小島東洋
公式Xアカウント:@asadora_bk_nhk
公式Instagramアカウント:@asadora_bk_nhk