アニメ「青のオーケストラ Season2」最終回の内容を振り返る、極私的レビュー! 春を迎える季節、そして約半年間の放送を締めくくるにふさわしい第21回「卒業」の印象的なセリフをピックアップしながら、放送を“まるっと”振り返っていきます。


Ⓒ阿久井真/小学館/NHK・NEP・日本アニメーション

卒業する先輩たちと、送り出す在校生の思いが交錯して……

ああ、本当に終わっちゃうんだな……。放送を見終わっての感慨が、卒業していく3年生たちの心情と重なって、もうウルウルしちゃいました。Season2の最終回となる第21話「卒業」で奏でられるのは、パッヘルベルの「カノン」。今さらですが、「青のオーケストラ」における「カノン」は特別な楽曲であり、Season1の第2話、夕暮れの河原で数年ぶりにヴァイオリンを手にした青野くん(青野 一/声:千葉翔也)が、りっちゃん(秋音律子/声:加隈亜衣)の前でこの曲をソロで弾くシーンは、作品屈指の名場面でした。そこから青野くんの演奏家としての“再生”が始まったことを考えると、今はオーケストラ部の一員として演奏する、つまり1人ぼっちだった彼が仲間たちと協力しながら音楽を作り上げるようになったという、彼の成長物語という点で完璧な描き方だったのかな、と。アニメのオリジナル描写も多かったし(Season1の最終回もそうでしたね!)、とても美しい形でSeason2が締めくくられていると感じました。

今回の物語は、青野くんが満開の桜の花を見上げるシーンから。彼が海幕高校に入学して約1年、コンサートマスターを務めていた原田蒼(声:榎木淳弥)ら3年生たちを送り出す卒業式の前日です。ジュニアオケでの再オーディション合格を海幕オケ部のみんなに祝福され、その優しさが心にみる青野くん。ですが、りっちゃんはやや不機嫌で。合格をハルちゃん(小桜ハル/声:佐藤未奈子)から伝え聞き、青野くんからは直接連絡をもらえなかった……、ということに納得できないでいます。微妙な乙女心ですね……。まあ、青野くんの「アイスをおごるから」という言葉でさやに納めたようですが(笑)。
下校時刻、生徒たちがいなくなった音楽室を確認する、オケ部顧問・鮎川先生(声:小野大輔)の描かれ方も印象的でした。ゆうに染まる、がらんとした音楽室を眺めるまなしに、生徒たちを厳しくも温かく見守ってきた鮎川先生の思いがあふれていました。

卒業式当日。制服の胸に花をつけ、自分が見送る側だった過去を思い出していたのは、3年生の米沢千佳(声:前田佳織里)。元2ndヴァイオリンのパートリーダーとして、りっちゃんや立花さん(立花 静/声:Lynn)を指導してきた彼女は、「まずは髪を染めて」など、卒業後の楽しみを考えながらも、

「…もっと、制服で遊びに行けば良かったなあ……」

と寂しさを覚えてしまいます。そんな気持ちを抱えたまま、卒業証書授与式の会場へ。彼女を迎え入れたのは、オケ部の1年生・2年生が奏でる「カノン」の調べ。もちろん、その中にはりっちゃんと立花さんの姿もありました。

常に聴く人のことを意識して、演奏中は笑顔も大事に、と教えてきた米沢さんですが、りっちゃんは

Ⓒ阿久井真/小学館/NHK・NEP・日本アニメーション

「先輩、ごめんなさい。今日だけは…、笑顔で演奏できないです…」

この一連のシーンには、夏の定期演奏会終了後の会話や2ndパートの演奏、部活以外で3人で遊びに行ったときの回想シーンが重なって……。りっちゃんの涙に、もらい泣きしてしまう米沢さん。ああ、この文章を書きながら、私の涙腺も崩壊しています。

授与式終了後、オケ部では3年生たちをねぎらう「卒業おめでとうパーティー」が開かれました。この場面、1stヴァイオリンでハルちゃんを見守ってきた町井美月先輩(声:安済知佳)の言葉が、とても温かくて。

Ⓒ阿久井真/小学館/NHK・NEP・日本アニメーション

「一歩ずつ一歩ずつ、丁寧に成長して花を咲かせてね。満開の桜みたいに」

そうかぁ、Season1で描かれていた定期演奏会、(チャイコフスキー『くるみ割り人形』の)「花のワルツ」を弾くハルちゃんのシーンで、町井先輩が言っていた名セリフ「見られるといいなあ。小桜さんのさくらのワルツ」が、ここにきてつながるのか! お見事!!!

それ以外にも、今回はSeason1からの全体(というか、青野くんが海幕高校に入学してからの1年間)を見通したエピソードが随所に挟まれています。例えば青野くんが佐伯 直(声:土屋神葉)と会話する場面で、2人が激しくぶつかり合ったことを口にしていて……。そのうえで、青野くんは自分の未来に思いをせます。

「自分が卒業するときは、どんな気持ちになるんだろうな…」

プロのオーケストラに入れるほどの実力を持つ原田先輩の進路は、大学の教育学部。そこに、鮎川先生のようになりたいという願いがあることは明白です。そんな原田から、羽鳥 葉(声:浅沼晋太郎)や青野くん、佐伯に伝えられる、先輩としての最後の言葉。「積み重ねをしんにできる人が、後輩にとって安心できる存在」という言葉は、後輩たちの胸にしっかりと届きました。
そして羽鳥の誘いに応じて、4人で弾き始める「カノン」。

Ⓒ阿久井真/小学館/NHK・NEP・日本アニメーション

やがてオケ部の部員たちが加わっていき、いつの間に定演のときのような編成となって、全員で奏でられる「カノン」。そこで青野くんが見せる笑顔は、少年時代の笑顔と同じものでした。さらにエンドクレジットが流れ、エンドカットは、Season1のOPラストカットと同様に、オケのメンバーが青い人影になるというもの。まさに「青の」オーケストラ!

ブラボー!!!

未来に向けて響き合う、青春の音。いつの日か、その続きが見られる日がくることを願ってやみません。


アニメ「青のオーケストラ」Season2

毎週日曜 Eテレ 午後5:00~5:25
毎週木曜 Eテレ 午後7:20~7:45 (再放送)

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カツオ(一本釣り)漁師、長距離航路貨客船の料理人見習い、スキー・インストラクター、脚本家アシスタントとして働いた経験を持つ、元雑誌編集者。番組情報誌『NHKウイークリー ステラ』に長年かかわり、編集・インタビュー・撮影を担当した。趣味は、ライトノベルや漫画を読むこと、アニメ鑑賞。中学・高校時代は吹奏楽部のアルトサックス吹きで、スマホの中にはアニソンがいっぱい。