表題の曲は、竹内まりやさんが1990年に発売したヒットシングルです。民放で放送されていた「火曜サスペンス劇場」の主題歌として制作されました。曲の冒頭、鳴り響く電話のベルの音から始まります。いかにも何か良からぬことが始まる予感が。しかし歌詞は、かつての恋人からかかってきた久しぶりの電話に揺れる女性の心情を描いています。まあこれも、今後の展開によってはサスペンスではありますが……。
恋人からかかってきた電話はもちろん家にある固定電話。電話や受話器は、かつて歌のテーマとして数多く登場しました。そのほとんどがラブソング。そして2010年代にスマートフォンが普及すると、比例して歌の中でもスマホがラブソングのアイテムとして激増していきます。
私はある企業で新入社員を対象とした「電話対応研修」の講師を務めています。研修では電話のかけ方・受け方・取り次ぎ方の基本とともに、電話ならではのマナーや言葉遣いについてお伝えしています。と書くとまるで私が電話対応の達人のようですが、実は私、電話が苦手なのです。
私が学生時代、家にあった電話にしても公衆電話にしても、話す相手は親か友人・知人くらい。ところがアナウンサーになって最初の仕事は取材とネタ探し。見当をつけて見ず知らずの相手に電話をかけるわけですが、それは職場の固定電話から。上司や先輩が、その内容はもちろん言葉遣いにも聞き耳を立てています。そのときの緊張感や苦い思い出が尾を引いているようなのです。
スマホを持っていても電話機能はほとんど使ったことがないという若者も多く、電話に対する苦手意識が強いといわれています。しかしそれは今も昔も、そして私も同じだったよというエピソードとして、新入社員にお話ししています。
それにしても、かつての「電話」をわざわざ「固定電話」とか「家電」と言わなければならないのは、少々面倒です。
(よしの・きよし 第1・3水曜担当)
※この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2026年1月号に掲載されたものです。
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