連続テレビ小説「風、薫る」は、激動の明治時代を舞台に、それぞれ生きづらさを抱えていた一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)が、当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込み、傷ついた人々を守るために奔走する物語。大家直美役・上坂樹里のインタビュー後編では、りんとともに看護を学び始めてからの直美の変化や、共演者として“バディ”を組んでいる見上愛の印象について話を聞いた。

上坂樹里インタビュー・前編はこちら


いつもマイペースなりんを、腹立たしく思うことも

――看護婦養成所に入所して、直美がりんと一緒に過ごす時間も増えました。上坂さんは2人の関係について、どのように感じていますか?

直美が上に立っているのかと思いきや、強がっている直美の心の内をりんが全部察している、というところもあるので、見ていて微笑ほほえましい感じがします。全然違う性格だし、生きてきた環境も違う2人なので、すぐに距離が縮まっていくわけではないけれど、それでも相手の考え方がわかってきて……。うまくいかずにケンカをすることもありますが、うそがない2人だからこそ、これからいい関係性を築いてバディになっていくんだろうなと思いました。

――そんなりんの魅力は、どんなところですか?

りんは悔しいぐらいにマイペースで、ちょっとおせっかい(笑)。とても感受性が豊かで、人の懐に入り込んでいく優しさを持っていて、何よりもきもが据わっているというか。今まで出会ったことのない人。ドシッとしていて「え、どうしてその状況で笑っていられるの?」と感じることもあるけれど、その人柄ゆえに憎めない。直美目線で言うと、だから腹立たしさを感じることもあるのですが(笑)。でも後々、それがいいところだと気づくことになるわけで……。

実際にりんを演じる見上愛さんとお芝居をしていると、そこで見せてくれる表情が、本当に魅力的なんです。りんは全部顔に出る(笑)のですが、その表情の変化がとても素敵すてき。シーンを撮っていると「あ、こういう表情をするから、直美の次の言葉が出やすい」と、受け取る側として初めて出てくる感情がたくさんあります。

――撮影を重ねることで、変化はありましたか?

そうですね。直美とりんが出会うまでは、お互いのバックグラウンドというか、それぞれの環境に置かれたシーンから撮り始めていますので、現場が違っていました。同じ日にスタジオにいても入れ違いになっていたんです。それで、「2人が一緒になると、どういう感じになるんだろう?」と思っていたんですけど、いざ2人のシーンを撮ると、自然と直美とりんになれるというか、2人の関係性も生まれてきたのかなと思っています。


太陽のような見上愛さんに、たくさん甘えています

――見上さんとは初めての共演ですが、どんな印象を持っていますか?

初めてお会いした時に「太陽みたいな方だな」と思いました。今なお、その印象は変わりません。隣にいてくださるだけで安心できるというか、私自身とても心強いですし……。ちょっと離れたところから聞こえてくる愛さんの笑い声が、大好きなんです。それを聞くだけで元気になれます。

これは、りんと共通する部分だなと感じているのですが、自分の中に芯がしっかりあると同時に、とにかく周囲をよく見ていて、気遣いが素晴すばらしい。1つ1つのお芝居に対してしんに向き合っている姿がすごくカッコいい。撮影中に私が行き詰まったときにも、さらっと助け舟を出してくれるような方なので、日々、甘えさせていただきながら撮影に臨んでいます。

――撮影現場で、2人で話し合うこともあるのでしょうか?

愛さんとお芝居に関する話は、意外としていなくて。休憩中には、愛さんおすすめの家電製品の話とか、全く関係のない話をしています(笑)。いい意味でオン・オフを分けているところはあります。
私にとって今はもう、りんは愛さんでしかないし、愛さんはりんでしかないので、私も直美として、直美とりんのようにバディとして、お互いに支え合いながらこれからも撮影に挑みたいと思っています。


直美という役との二人三脚が、生活の一部になっています

――長期間撮影される連続テレビ小説ならではの楽しさや、ご自身の成長などは感じていますか?

これだけ長い時間をかけて撮影する作品の現場に入ることは初めてなんです。長期間にわたって大家直美という役と二人三脚ができるというのは、本当に幸せなことだと思っています。毎日直美と向き合っていると、彼女に対しての理解度もどんどん深まっています。少し前の撮影で、第18回で直美が日向ひなた(藤原季節)に対して怒りを爆発させるシーン、直美が英語を交えながら今までにないくらい感情をあらわにする大事なシーンを撮ったんです。

実は、撮影に入りたてのころに一度、監督さんとそのシーンの本読みをしたことがありました。それを久しぶりに今度は実際の撮影でやってみて、終わってから監督に「いい意味で、全然、前と違う」と言ってもらえました。監督からそう言っていただけたことが、とてもうれしくて。そうやって時間をかけて役と向き合って、自分の中の変化も感じられて……「お芝居って楽しいな!」と肌で感じています。

――この先、ご自身の年齢よりも直美が年上になっていくと思います。それについてはどう考えていますか?

1人の人物を、これだけ長い間、年を重ねていく姿を演じられるのは、朝ドラならではだと思っています。メイクさんに「今の髪型で真っ白になったら、もっとかっこいいよね」と言われたりして……もちろん、まだ決まっているわけではないんですが、そんなことを考えている時間もとても楽しいです。今まで自分と大きくかけ離れた年齢を演じたことがないので、それに対する難しさはありますが、これからどうなっていくのかという期待のほうが大きくて、私もすごく楽しみです。