ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、小一郎役の仲野太賀さん、織田信長役の小栗旬さん、藤吉郎役の池松壮亮さんから!
仲野太賀さんの第6回振り返り
人を斬った藤吉郎を見て、小一郎は寂しかったし怖かったと思う

――主君である信長に「大沢次郎左衛門(松尾諭)を斬れば、侍大将にしてやる」と言われながらも、小一郎はその言葉を拒絶しました。普通の侍にはできないことだと思うのですが、その小一郎の生き方、信念について、仲野さんはどう感じましたか?
「豊臣兄弟!」で描かれている小一郎で言えば、農民から侍になる場面と刀を持つようになる場面が、小一郎にとって大きなターニングポイントになっていると思います。
振り返れば、第1回で迷うことなく人を斬った藤吉郎を見たときに、小一郎はとても寂しかったし、とても怖かったし、生きている世界の違いを見せつけられて、そのショックはかなり大きかったと思います。同じように生まれ育ってきたのに、「侍の世界に行った兄は、もう違う世界にいるんだ」と。それは小一郎にとってはすごく根深いもので、人生を変えるため侍になる決意をしたけれど、自分が人を斬れるのか斬れないのかという狭間に、小一郎の成長の過程があるんだろうなと思っています。
そういう意味で、信長に「侍大将にしてやる」と言われたときは、まだ人を斬ったことがなくて、自分は侍と言えるのだろうか? という思いもあったはず。信長が柴田勝家(山口馬木也)ら家臣団に「誰々を斬ってこい」と平然と命令している場に小一郎もいて、「こんなところには、いられない」と思ったフシもあるんじゃないか、と僕は感じました。
ある種、普通の感覚をずっと持っていた人として小一郎を演じたいなと思っています。「侍大将に」と言われても、大沢を斬って兄を裏切り、見捨てることなんて小一郎にはできない。だからこそ、それができる人を支える側に自然と進んでいったのかな、と思っています。
小栗旬さんの第6回振り返り
信長は小一郎に対して「悔しさ」を感じたと思います

――大沢次郎左衛門を斬れば侍大将にしてやる、と言う信長に対して、小一郎は大沢の命は藤吉郎の命だと主張して、猛然と反発していましたね。
あのシーンの小一郎、太賀くんも非常によかったですね。小一郎が「わしはどんなことがあろうと兄者を裏切りませぬ」と主張している姿を見て、信長も強く感じる部分があったのではないでしょうか。信長はその後、市(宮﨑あおい)に対して、冗談か本気かはさて置き「兄を見殺しにして、のし上がろうとする弟の姿を見たかった」という言い方をしていましたが、自分が死に追いやった弟の信勝(中沢元紀)のことをひっくるめて、ある種の悔しさがあったと思います。自分が歩めなかった道をまざまざと見せつけられた瞬間だったのではと感じました。それでいて、「感動しているような場合じゃない。そんなことであの兄弟をいいなと思っていたら、お前はダメだぞ」と思っている信長もどこかにいる気がしています。
池松壮亮さんの第6回振り返り
藤吉郎に翻弄されて一生懸命に誠実に頑張る小一郎があまりに可愛かったです

――大沢次郎左衛門の身代わりに人質となった藤吉郎の命を救うため、前田利家(大東駿介)に話を聞いたり、市に相談したり、小一郎が必死に奔走する姿は感動的でした。でも、その一方で、藤吉郎はずいぶん呑気に過ごしていましたが、その時の藤吉郎の本心はどのようなものだったと思いますか?
藤吉郎は小一郎のことを信じ切っていた、と解釈しています。それと同時に、藤吉郎の身上として、この人は生きる上で一か八かの賭けを何度も繰り返していると思っています。それは少年時代、死の入り口と隣り合わせの過酷な環境で育ったことが大きいのではないかと思います。自分なんてダメでもともとで、死んだらそこまでなんだという常人離れした感覚がある。自分の生き死にを天に任せて笑えるおおらかさがあると思っています。そういうふうに僕は捉えています。こうした彼の特徴は、とても多くの学びをもたらしてくれました。そんな兄に翻弄されて、ものすごく一生懸命に誠実に頑張ってくれる小一郎がまたあまりに可愛いですし、僕自身もお気に入りの回です。